食欲の仕組み

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記憶・本能



食べなさいと命令する脳

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◆ お腹が空くと何かを食べたくなる仕組み





脳幹の下に重さ僅か10グラムの視床下部と言う生命中枢がある。


この部分の中心的な役割は、生命維持に不可欠な基本的な欲望を生み出す事である。


欲望と言えば1番に食欲が思い浮かぶ。


人間は、お腹が空けば何かを食べたくなるし、満腹になれば食べる事を止める。
これを日々繰り返すことによって生命を維持している。


しかし、お腹が空くと何かを食べたくなるのは何故なのだろうか。答えは「脳がそう命令しているから」。


この食欲をコントロールしているのが視床下部。


ここには物を食べなさいと命令する「摂食中枢」と、食べるのを止めなさいと命令する「満腹中枢」がある。


摂食中枢を刺激すると働きは活発になり、破壊すると命令が出なくなる為、幾ら空腹でも食べなくなってしまう。


ネズミの実験で摂食中枢を破壊してみると、幾ら空腹でも食べない。空腹で死んでしまうが、それでも食べない。


摂食中枢


食べるのを止めなさいと命令する脳


◆ お腹が一杯になると食べるのを止める仕組み


これは脳幹の視床下部の満腹中枢が指令を出している。


動物に実験でこの部位に電気刺激を与えると、どんなに空腹であっても食べる事ができない。


死ぬまで絶対に食べない。「食べるのを止めなさい」と命令がでているからだ。
電気刺激を止めると、命令が出なくらる為、食べ始める。


今度はこの部位を破壊して見る。


すると今度は「食べるのを止めなさい」と言う命令が出ない為、満腹になっても、死ぬまで食べ続けてしまう。


「食べなさい」と指令を出す部分と「食べるのを止めなさい」と指令を出す部位が相互に働き有って人間は食べていくて行く事が出来る。


過食症や拒食症は、視床下部のこの中枢と関係があると考えられている。


満腹中枢


摂食中枢と満腹中枢が働く仕組み


◆ 「食べなさい」「止めなさい」と指令を出す仕組み


食欲を司り「食べなさい」「止めなさい」と指令を出す脳幹の2つの中枢。そのメカニズムを説明する。


注意して欲しいのは1つの中枢が2つの指令を出す訳ではなく、1つの中枢は1つの指令しか出さない点。


2つの中枢が逆の指令をだしているのが興味深い。


摂食中枢と満腹中枢はともに血液中のブドウ糖(血糖)と関係している。
両中枢にはブドウ糖に反応する神経細胞が有って、それがコントロールしている。


◎摂食中枢


ブドウ糖によって活動がおさまる性質がある為、充分な血糖があれば活動しない。
反対に血液中のブドウ糖がなくなると活動して「食べなさい」と言う指令を出す。


◎満腹中枢


血液中にブドウ糖が増えると活動が盛んになり「食べるのを止めなさい」と言う指令を出す。
反対にブドウ糖がなくなると活動しなくなり、指令が出ない。


これらの指令は、大脳皮質の前頭連合野に伝達され、「お腹が空いた」「お腹が一杯」と言う感情を作り出している。


摂食中枢と満腹中枢が働く仕組み


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