尾状核とバイリンガル

脳の仕組み ⇒ 記憶・本能 ⇒ 尾状核とバイリンガル


記憶・本能



2つの言語間のスイッチ

思考と言語 ←|→ 忘れて当然の脳


◆ 言語をスイッチで切り替えている脳 





ある技能を身に付けるのに相応しい時期を感受性期と言います。


例えば、発音を聞き分ける能力の感受性期は生後半年から1年です。


日本人が苦手とするRの発音は、生後半年から1年くらいの間は日本人の赤ん坊も聞き分けている事が解っています。


第二言語を取得する感受性期は様々なテストで、文法獲得の感受性期は7歳をピークに徐々に衰えて行くことが確認されています。


では、母国語と第二言語では、脳の同じ部位が使われているのでしょうか。


MRIを利用して血流動態反応を可視化する実験で、10歳以降に第二言語を習得した人は、使う言語によってブローカ領野の活動領域が別である事が確認されています。


しかし、バイリンガルの人が脳損傷によって失語症になった時、両方の言語が同時に話せなくなるなど、かなりの部分で同じ部位の働きで言語を使っているらしい事も解っています。


また別の実験では、大脳基底核の中で、左側の尾状核が活発に活動していることが確認されました。


左側の尾状核が、言語の切り替えスイッチと考えられています。


ただし、言語中枢が右脳にある人も、左側の尾状核が、言語の切り替えスイッチで有るかどうかについては不明です。


2つの言語間のスイッチ


関連記事


記憶は2種類ある

記憶は脳の能力では欠かせない物だが、記憶には体で覚える「手続き記憶」と脳で覚える「陳述記憶」の2つがある。
手続き記憶とは、自転車乗り方、スケートの滑り方、楽器の演奏など、体で覚えこみ、そのやり方を意識しないで思い出せる記憶のこと。
陳述記憶とは脳で覚えて、覚えている内容を言葉で表現したり、絵などで表現したり、意識的に表現できる記憶のこと。
人の顔は何故覚えられるのか

赤ん坊は母親の顔が近づくと笑顔で喜ぶ。
未だ大脳皮質が発達していないのに何故なんだろうと思った事は無いだろうか。 生まれて間もないのに既に母親と他人の顔を識別している。 また、大人でもAさんとBさんの顔を識別していて間違える事が無い。 でもネコや犬の顔は大人でも識別が難しい。これは何故なのだろうか?
言語を理解する仕組み

人間は人間の声に、猿は猿の鳴き声に反応して意味を読み取るように出来ています。
そこで働くのが、言語中枢、ウェルニケ領野、ブローカ領野です。 言葉の理解は主にウェルニケ領野を中心とした感覚性言語中枢で行われ、単語を構成する一連の音の記憶と照合されて、意味を判断します。 ブローカ領野は言葉を話す時の筋肉の動きを統制する中枢です。
記憶はどんどん変化して行く

エピソード記憶である人間の経験は、書き下ろされた小説の様に纏まってはいません。 エピソードを構成する1つ1つの部品を意味記憶として脳神経に格納し、エピソード記憶自身は、それを繋ぐ神経経路の地図として形作られます。 最初は、1つのエピソード記憶の最少構成要素である意味記憶を海馬へ移送します。 しかし、それは1度では完成せず、1ヶ月から2年程度かかる作業になります。
食べなさいと命令する脳

食欲をコントロールしているのが視床下部。 ここには物を食べなさいと命令する「摂食中枢」と、食べるのを止めなさいと命令する「満腹中枢」がある。 摂食中枢を刺激すると働きは活発になり、破壊すると命令が出なくなる為、幾ら空腹でも食べなくなってしまう。 ネズミの実験で摂食中枢を破壊してみると、幾ら空腹でも食べない。空腹で死んでしまうが、それでも食べない。