思考と言語

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記憶・本能



言語の介在する思考、介在しない思考

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◆ 思考は、言語を前提とするものと、そうでないものがある。 


思考を組み立てるに当り、口に出す出さないは別として「新聞を持ってくる帰りに眼がねを持ってきて・・・」といくつもの手順を確認する事は日常良くあることです。


では、思考は言語を前提とした、言葉を持つ人間だけのものでしょうか?


実はそんな事は有りません。動物も考えますし、人間も図形問題などでは言葉に頼らず頭に中に思い描いて解く事が有ります。


また、失語症の人でも、ものを考えることは出来ます。


しかし、高等数学の問題を解く場合は、各要素の意味を明確にして行く過程で、言語的アプローチを行っていて、言語中枢が活性化しているのが確認されています。


言葉は思考の中間結果を残しておくのに便利なので、言葉を手に入れた人間が、思考時に要所要所で考えを言語化し、最終的に言葉(言語)として他者に伝えるのは、理にかなった方法です。


しかし、逆に言葉によって思考が制限されるという事も報告されています。


言葉がイメージを定着して、思考を制限すると言うことです。


日本語は野菜を「青物」と呼んだり、信号機の緑を青と言ったり、緑を「青」と呼ぶ事がある言語です。


勿論、色の区別はハッキリしていますが、本当に青と緑を区別しない民族もあります。


しかしこの民族も視覚異常がある訳では無く、正確に色相・明度の差異を認識します。


逆に青・緑を正確に使い分ける民族では、言葉のイメージに引かれて、色の差を実際よりも大きく感じると言います。


これは、思考や認識が言葉によって制限される例の1つです。


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